大腸がん検診受診のおすすめ
今、日本で急増しているがんに大腸がんがあります。50歳代から罹患者数が増え始め、60~70歳代の高齢者の方が多く罹患されているがんです。
日本において一生のうちに大腸がんに罹患する確率は、男性が11人に1人、女性が14人に1人といわれています。また女性の場合、がんの部位別死亡者数が最も多いがんが、大腸がんになっています。(厚生労働省人口動態統計2015年)
大腸がんが急増している最大の要因は、欧米型の食生活の定着だと言われています。肉食が定着したことだけではなく、バターやチーズなどの乳製品の摂取量が増え、一方で穀類や豆類など植物繊維が多く含まれる食品の消費量が減っていることが、大腸がんの罹患者数を増やしている要因だと言われています。
大腸がんの場合、初期の段階での症状はほとんどありません。進行してしまった場合には、排便時の出血や腹痛、残便感、便秘、下痢、便が細くなるなどの症状が現れます。排便時の潜血で、異常に気が付くことが多いようです。
大腸がんの発生率は、直腸が34.1%、結腸が65.9%ですが、肛門に近い直腸からの出血の場合には赤い血が、肛門から離れた結腸からの出血の場合には黒っぽい血が便に混ざって確認されることが多いようです。
一般的な大腸がん検診では、便潜血検査が行われます。便潜血検査は、便に血が混じっているかを調べる検査です。通常2日間分の便を採取しますが、がん検診の中でも最も死亡率が下がる事が証明されている検査です。
便潜血検査で陽性の反応があった場合には、大腸内視鏡による精密検査が行われます。肛門から内視鏡を挿入しますが、多くの場合、大きな苦痛もありません。またポリープ等の病変が見つかった場合には、見つけ次第切除することも出来ます。
大腸がんは早期に発見できた場合、90%以上が治癒するとも言われているため、便潜血検査・大腸内視鏡検査は非常に重要です。ところが、特に大腸内視鏡検査については、要精密検査となった場合にも検査方法に抵抗を感じ、受診をしない方が多くいらっしゃるようです。
大腸の精密検査については、内視鏡を挿入せずにCTで大腸を撮影し、映像をコンピューター処理することで、腸内を内視鏡で診るようにチェックすることができる仮想大腸内視鏡検査などもあります。大腸仮想内視鏡検査は、検診を受ける側の抵抗感も低く、精度も高まることから、大腸がん検診の受診率アップに貢献すると期待されています。
一方でポリープが発見された場合、再度内視鏡検査が必要になることや、平坦な病変や小さな病変の発見率が低いなどのデメリットもありますので注意も必要です。・
検診の効果が科学的に証明されており、厚生労働省が受診を奨励しているがん検診には、「大腸がん検診」「胃がん検診」「肺がん検診」「子宮頸がん検診」「乳がん検診」検診があります。ところが日本のがん検診受診率は欧米先進国と比べると1/2~1/3程度と、非常に低い状況が続いています。
がん検診を受診さえすれば必ずがんが見つかるということではありませんが、特に罹患者数・死亡者数がともに多く、かつ検診効果が高いと言われている大腸がんに関しては、ご自身のため、また大切なご家族のためにもしっかりと検診をお受けいただきたいと思います。