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増え続ける乳がんの現状

2016年、新たに乳がんに罹患する患者さんの数を、国は90,000人以上と予想しています。(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター2016年のがん統計予測より)90,000人と言われてもイメージがしにくいかもしれませんが、たとえば東京ドームや甲子園球場を満員として2日分以上の人数になります。あの大球場を満員にして2日分以上といわれると、その人数の多さに驚かれるのではないでしょうか。

現在日本では乳がんが激増しており、女性が一生のうちに乳がんに罹患する確率は12人に1人と言われています。(国立がん研究センターがん対策情報センター2010年統計より)この数字を見ると、「激増していると言っても12人に1人か。」と思われる方もいらっしゃると思いますが、同じ統計データから発表された数字で、16人に1人という数字もあります。さて、この数字は何の数字なのでしょうか?
実は2009年の統計データを元に発表された、女性が一生のうちに乳がんに罹患する確率です。つまりこの2つの数字を並べて見てみると、僅か1年で4人も増えていることがわかります。日本において乳がんが激増しているということにも、納得いただけるのではないでしょうか。

乳がんは、かつては日本に多いがんではありませんでした。では今なぜ、乳がんが急増しているのでしょうか?原因はまだはっきりとはわかってはいませんが、乳がんを誘発している危険因子については、いくつか確認されています。
エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの影響もあると言われていますし、喫煙や飲酒との関係も指摘されています。また閉経後の肥満や過度なストレスが乳がんを誘発していることも指摘されています。

その中で特に関係が深いと思われるものが、高カロリー・高たんぱくの欧米型の食生活の定着です。高度成長期を境に、日本の食生活は大きく変化をしてきました。魚や野菜を中心とした日本伝統の食生活から、肉を食べることが定着し、特に若い方を中心に日本の食生活は大きく変わっていきました。こうした食生活の変化は乳がんだけではなく、近年、大腸がんや前立腺がんが急増している原因の1つでもあると指摘されています。

また乳がんの特徴として、罹患のピークが非常に若いということも挙げられます。乳がんと子宮頸がんを除いた他のがんは、年齢が高くなるにつれ罹患率も高くなっていきますが、実は乳がんの罹患のピークは40歳代後半です。乳がんの罹患率は、30歳第に入ると、急激に上昇していき、45歳~49歳の年齢帯で罹患率のピークを迎えます。乳がんは、若い方が非常に多く罹患してしまっているがんだということがお分かりいただけると思います。

一方で乳がんは、唯一、自分自身で発見ができるがんだとも言われています。定期的にセルフチェックを行うこと、まだまだ受診率は低いのですが、乳がん検診をしっかりと受けることが重要です。

まずはご自身のため、また大切なご家族のためにも、定期的な乳がん検診の受診をお願いしたいと思います。

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