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がんを知ることの重要性(喫煙と生活習慣の関係を知る)

日本では1981年(昭和56年)、がんが死亡原因の第一位となりました。それ以降日本では、「がんでの死亡者数」も「がんでの死亡率(10万人あたりの死亡者数)」も、ともに上昇し続けています。また国は、今後もこの傾向は変わらないと予想をしています。
日本では、一生のうちにがんに罹患する確率は男性の場合63%、女性の場合47%だと言われています。(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス 2012年がん罹患者データより)実に男性の約3人に2人が、女性の約2人に1人が、一生のうちに何らかのがんに罹患するということになります。

がんの原因の三分の一はたばこ、三分の一は生活習慣だと言われています。たばこが「肺がん」の原因となることはよく知られていますが、実はたばこは「肺がん」以外にも、「胃がん」「食道がん」「肝がん」「膵がん」「頭頚部がん」「膀胱がん」「子宮頸がん」をはじめとする「すべてのがん」のリスクを上げることも確実だと言われています。「がん」ではありまあせんが、心筋梗塞や脳卒中のリスクを上げることも知られており、やはりたばこは、「万病のもと」だと言えると思います。

たばこ以外の生活習慣とがんとの関係をみていくと、まず「飲酒」との関係が指摘されます。お酒は「百薬の長」とも言われて、お酒を少し飲む人はまったく飲まない人よりも心筋梗塞や脳卒中のリスクが下がり、長生きすることが知られていますが、それは1日あたり1合程度までのお話です。1日あたり1合を超える「飲酒習慣」は、「すべてのがん」のリスクを上げることが確実だと言われています。特に関係性が高いがんとしては、「肝がん」「大腸がん」「食道がん」「頭頚部がん」「乳がん」が挙げられています。
「飲酒」によるがんのリスクは、「飲酒量」が増えると上昇していきます。また「お酒を飲むと顔が赤くなる人」は特に注意が必要で、「食道がん」のリスクが上昇すると言われています。

がんと「食事」の関係についても、関心は高まってきています。予防のためには、「野菜や果物をたくさん摂り、お茶をたくさん飲むと良い。」とも言われています。もちろんビタミンや食物繊維の豊富な野菜や果物はからだに良さそうですが、がんリスクを確実に下げると言われているのは「食道がん」だけです。ビタミンやミネラルが不足してくるとがん以外の病気にもなりやすくなるため、野菜・果物不足にならないことは大切ですが、必要以上に意識し大量に摂る必要はないのかもしれません。

「食事」に関して、むしろ気を付けてもらいたいのが「塩分」です。男性では、塩分摂取量の多い人ほど「胃がん」のリスクが高まることがわかっています。健康な成人の1日の塩分摂取量の目安は、男性が8g以下、女性が7g以下といわれています。(2015年4月からの厚生労働省推奨食塩摂取量の目標量)ちなみにWHO(世界保健機関)の目標数値は5g以下となっています。
一方で厚生労働省が2015年12月9日に発表した「平成26年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、2014年における成人の一日あたりの塩分平均摂取量は男性で10.9グラム・女性で9.2グラムとなっています。男女とも60代までは歳と共に摂取量が増加しており、歳を重ねるに連れて濃い味付けを求める傾向が確認されています。

最後に、「がん予防」におすすめしたいのが「運動」です。適度な運動を行うことにより「大腸がん」のリスクが下がることはほぼ確実だといわれており、「乳がん」のリスクも下げる可能性があるといわれています。運動量としては、1日に歩行またはそれと同じような軽い負荷のかかる運動を60分程度行い、息がはずみ汗をかく程度の運動を1週間に60分程度行うことが目標とされています。

「喫煙」をやめ、「飲酒」を控え、「栄養バランスに」注意をし、「適度な運動を行う」ことが、科学的に導き出された「最良のがん予防法」です。

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