がんを知ることの重要性(喫煙とがんの関係を知る)
日本では1981年(昭和56年)、がんが死亡原因の第一位となりました。それ以降日本では、「がんでの死亡者数」も「がんでの死亡率(10万人あたりの死亡者数)」も、ともに上昇し続けています。また国は、今後もこの傾向は変わらないと予想をしています。
日本では、一生のうちにがんに罹患する確率は男性の場合63%、女性の場合47%だと言われています。(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス 2012年がん罹患者データより)実に男性の約3人に2人が、女性の約2人に1人が、一生のうちに何らかのがんに罹患するということになります。
がんが増え続ける原因の一つが「がん検診」の受診率の低さだと言われています。また世界でも類を見ない急速な高齢化が、がんを増やしている原因だとも言われています。
一方で、がんについて知らないことががんを増やしている原因だとも言われています。事実日本では、学校でがんに関する教育は行われていません。また社会に出てからも、がんに関する教育を受ける機会はほとんどないのだと思います。がんに関する情報はテレビからしか入手することが出来ていない、という方も多いのではないでしょうか?
こうした状況を踏まえ、来年度より小・中・高ではがん教育が開始されます。文部科学省のホームページの中には学校教育を行う際に使用する補助資料として、「がん教育推進のための教材」がアップされています。
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1369992.htm (がん教育推進のための教材)
がんを減らしていくためにがんを知ることは非常に重要であり、がん罹患者の多い社会人にとってもがん教育は急務だと思います。
がんは、さまざまな原因により遺伝子が傷つき、がん細胞が無限に増殖していく病気です。「がん家系」だからと言われる方もいらっしゃいますが、実際に遺伝を原因としたがんはがん全体の5%程度です。
がんの原因の三分の二近くは、生活習慣だと言われています。具体的には、たばこ・過度な飲酒・運動不足・食習慣(肉の取りすぎと野菜不足)です。こうした生活習慣を改善することにより、がんを減らすことが出来ると考えられています。
がんの原因の三分の一はたばこだと言われています。喫煙者の方は、まずたばこを止めることが重要です。たばこを喫い続けると喫煙者本人だけではなく、家族やまわりで生活をしている多くの方々にもその影響が及びます。副流煙の影響による受動喫煙により、日本では年間7千人もの方々がお亡くなりになっていると言われています。
喫煙は肺がんだけでなく、さまざまながんの発症に影響を与えています。喫煙者と非喫煙者を比べた場合、がんのリスク(がんに罹患する、またはがんにより死亡する危険性)は、男性の場合、全がんで2.0倍、肺がんで4.8倍、喉頭がんで5.5倍、尿路(膀胱・腎盂・尿管)がんで5.4倍、食道がんで3.4倍となっています。(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報サービス 喫煙とがんより)
またご主人が喫煙者の場合、非喫煙者の奥様が肺がんに罹患する確率は2倍になるとも言われています。
一方禁煙をした場合、がんのリスクは喫煙を続けていた人よりも下がることもわかってきています。喫煙を続けていた人よりも禁煙をした人の方がリスクの低いがんとしては、口腔がん、食道がん(扁平上皮がん)、胃がん、肺がん、喉頭がん、膀胱がん、子宮頸がん(扁平上皮がん)などがあります。またこれらほとんどのがんにおいて、禁煙してからの期間が長くなるほどリスクが低くなることが確認されているため、禁煙する年齢が若ければ若いほど禁煙の効果は大きくなります。とは言え、何歳で禁煙をしてもがんのリスクは下がりますので、年齢に関わらず、喫煙者の方々には早い時期に禁煙することをおすすめいたします。